カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客が企業の従業員や職場環境に嫌がらせなどを行う行為のことを指します。会社に深刻な影響を与える可能性があるため、近年ではその対策の重要性が高まっています。
近年では厚生労働省が発表したマニュアルをもとに、対応方法が整備されつつあります。
カスハラへの対応は、実際に起こってからでは遅いとされています。企業や従業員が深刻なダメージを受ける前に適切な事前準備をしっかりと進めることが大切です。ではどのような準備と対応が効果的なのでしょうか。ひとつずつ解説していきましょう。
事前準備
トラブルへの対応の質は、事前準備の質によって決まります。事前にカスハラ発生を未然に防ぐための事前準備として、以下の3つのポイントが挙げられます。
企業の基本スタンスを明確化し、従業員に周知する
まずひとつ目は、カスハラ対策に関しての企業のスタンスを明確にすることです。企業はカスハラから従業員を守る姿勢を明確化し、従業員に周知しましょう。
「ひとりで悩まない、ひとりで対応しない、ひとりで判断しない」などといった、わかりやすく覚えやすいルールやスローガンを設けることも有効です。
カスハラが起きた時の相談先を用意する
カスハラの報告事例を見てみると、ハラスメントに該当するかどうかその場での判断が難しいケースも多くあります。会社の判断や考え方を反映した相談窓口を設置しましょう。
相談窓口は、お客様対応に精通した担当者を配置し、相談内容の秘密保持を徹底する必要があります。相談を受けた際には、軽視することなく、事実関係を丁寧に確認することが重要です。窓口担当者の対応のノウハウを社内標準化できることも、窓口設置のメリットです。
カスハラ発生時の対応手順を定めておく
無茶な要求をしてくる顧客への対応手順を事前に定めておくことも重要です。会社規模や業務内容、想定されるケースなどを考慮し、それぞれの状況に応じた対応を検討し、マニュアルにまとめましょう。マニュアル作成は現場の意見を取り入れることが大切です。
社内対応ルールやマニュアルが策定したら、社員への周知を徹底しましょう。研修やパンフレットの配布などを利用すると効果的です。研修はシミュレーションなどの実践的なプログラムを組み込むとよいでしょう。
発生時の対応:被害を最小限に抑えるために
実際にカスハラが発生した場合、迅速かつ適切な対応を行い、被害を最小限に抑えることが重要です。その際、以下の3点を意識することが重要となります。
事実関係をまずしっかりと確認する
まず事実関係を正確に確認することが大切です。顧客の言動、担当者の対応、発生日時や場所などを詳細に記録します。録音・録画などの証拠を収集しておきましょう。
事実関係に基づいた対応を行う
事実関係の確認後、その事実に基づいた対応を行います。顧客の要求が不当である場合は、毅然とした態度で対応しましょう。要求には応じないことをハッキリと伝える必要があります。
従業員の安全を確保する
顧客の言動が原因で、従業員が心身に被害を受けている場合は速やかに安全を確保し、精神的なサポートを提供することが必要です。産業医やカウンセラーへの相談をうながしたり、休暇を取得させたりするなどの配慮が必要です。
再発防止
問題が解決した後の対応も忘れてはなりません。再発防止策を検討しましょう。発生した事案の原因や状況、反省点などを分析し、社内ルールや教育内容、相談体制などの見直しを行います。同様の問題が起こらないように対策を強化することが大切です。強化したポイントや改善点は、定期的な勉強会や研修、毎日の朝礼などで共有しましょう。
まとめ
カスハラは企業にとって重大なリスクです。適切な対策を講じることが不可欠です。事前準備と発生時の対応を適切に行うことで、従業員を守り、企業の損害を最小限に抑えることができます。また、再発防止策を検討することで、より安全で働きやすい職場環境を構築することができるでしょう。
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引用元:https://www.safetynet.co.jp/
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