職場でハラスメントが起きたとき「大げさにしたくない」「様子を見よう」と放置してしまうケースは少なくありません。しかし、会社がハラスメントを見て見ぬふりをしていると、被害者だけでなく職場全体にじわじわと悪影響が広がります。法律上のリスクまで抱えるため、早めに対処するのが大切です。
ハラスメントを放置する経営的デメリット
ハラスメントが起きても「個人間の問題だから」と会社が動かないでいると、被害はどんどん深刻になります。問題を早期に把握して対応すると、会社を守ることにもつながります。
従業員の心が壊れる
ハラスメントを受け続けた従業員は、うつ病や適応障害といった精神疾患を発症するリスクが高くなります。被害者本人だけではなく、その場を目撃したり話を聞いたりした周囲の従業員も、「次は自分が被害に遭うかもしれない」という恐怖心から、メンタルヘルスに不調をきたす場合があります。
精神的に追い詰められた従業員は仕事に集中できなくなり、ミスが増えるような業務にも支障が出ます。
優秀な人から会社を辞める
ハラスメントを会社が放置していると、従業員は「この会社は自分を守ってくれない」と感じ、職場への信頼を失います。とくに他社でも活躍できる能力の高い従業員ほど、早めに見切りをつけて退職してしまう傾向があります。
優秀な人材が抜けると、残った従業員に業務の負担が集中し、さらに退職者が増えるという悪循環に陥りかねません。人材不足が続けば、採用活動にも多くのコストがかかります。
周囲にも不安が広がる
ハラスメントが横行している職場では、被害者以外の従業員にも常に緊張感や不安感が漂います。チームとして協力し合う雰囲気が失われ、職場全体のモチベーションが低下します。結果として、生産性が低下し、会社の業績にも悪影響をおよぼします。
問題が放置されていると感じると「相談しても無駄」と口をつぐむ従業員が増え、ハラスメントがさらに見えにくくなるという深刻な状況が生まれます。
ハラスメントを放置する法的デメリット
ハラスメントは当事者間の個人的なトラブルではなく、会社が法律上の責任を問われる問題です。「知らなかった」では済まされない場面が現実に起きているため、正しい知識をもっておく必要があります。
損害賠償を請求される
ハラスメントが職場で起きた場合、被害者は加害者だけでなく、会社に対しても損害賠償を請求できます。会社が問題を把握していながら対応しなかった場合は「安全配慮義務違反」として法的責任を問われるリスクがあります。
過去の裁判例では、会社側に数百万円の賠償金の支払いが命じられたケースもあります。金銭的な負担だけでなく、裁判になること自体が会社のイメージを大きく損ないます。
パワハラ防止法の義務とは
2020年6月に大企業、2022年4月からは中小企業にも適用された「パワハラ防止法(労働施策総合推進法)」により、すべての事業者はハラスメント防止のための措置を講じることが義務付けられています。具体的には、社内方針の明確化や相談窓口の設置が求められます。
この義務を果たしていない会社は行政指導の対象となる可能性があり、対策を怠るのは法律違反とみなされます。
安全配慮義務違反になる
働契約法第5条には、会社は従業員が安全に働けるよう配慮しなければならないと定められています。ハラスメントを認識しながら放置するのは、この安全配慮義務に違反する行為です。
義務違反が認定されると、会社は従業員から損害賠償を請求されるリスクを抱えます。問題が発生した後の対応が遅れるほど、会社側の責任が重くなる傾向があるのも覚えておく必要があります。
ハラスメントを放置するコンプライアンス的デメリット
ハラスメントの問題がひとたび外部に漏れると、会社の評判はあっという間に落ちます。採用や取引にも直接影響するため、信用の低下は経営全体に関わる深刻な問題です。
SNS拡散で評判が下がる
近年はSNSや口コミサイトを通じて、職場の実態が瞬時に広まる時代になっています。ハラスメントが横行していると、退職した従業員や在職中の従業員がインターネット上に情報を書き込み、会社の評判が大きく傷つく場合があります。
一度広まった悪評はなかなか消えず、採用活動で求職者が集まらなくなるなど、長期にわたって影響が続くのも珍しくありません。
採用と取引への悪影響
ハラスメントが問題視された会社は、就職先として候補から外されやすくなります。人手不足が続く現代では、会社の選択肢が多い求職者がわざわざリスクのある職場を選ぶ理由はありません。
また、取引先や顧客がハラスメント問題を知った場合、契約の見直しや取引停止につながる場合もあります。社会的な信用の低下は、売上や業績にも直結する問題です。
今できる再発防止の一歩
ハラスメントが起きた後の会社の対応次第で、問題がさらに拡大するかどうかが決まります。まずは相談窓口を設置して、従業員が安心して声を上げられる環境を整えることが重要です。
また、管理職向けの研修を実施し、ハラスメントが起きない職場づくりを全社で取り組む姿勢を示すのも大切です。再発防止に向けた取り組みを継続するのが、会社への信頼を取り戻す近道になります。
まとめ
ハラスメントを放置すると、被害者の心身へのダメージにとどまらず、職場全体の雰囲気の悪化や優秀な人材の流出、法的責任の発生など、会社にとって深刻なリスクを招きます。パワハラ防止法の施行により、企業には防止措置を講じる法律上の義務が課せられており、対応を怠れば行政指導や損害賠償の対象になる場合もあります。さらに、SNSを通じた情報拡散によって会社の評判が一気に落ちる時代においては、採用や取引にも悪影響が出る可能性があります。ハラスメントの問題は個人の問題ではなく、会社全体で取り組むべき経営課題のひとつです。相談窓口の設置や研修の実施など、できる点から着実に対策を進めるのが、働きやすい職場を守ることにつながります。
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引用元:https://www.safetynet.co.jp/
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会員数:150万人
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専門家在籍:公認心理師、産業カウンセラー、臨床心理士、看護師、栄養士、ファイナンシャルプランナー、警察OB など
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